成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

わからないから面白い

2010年4月30日

私の講義は難しすぎてわからないとよくいわれる。そういわれると、非常にうれしい。そう簡単にわかられてたまるものか。なにしろ30年以上かけてそれなりに必死で考えてきたことばかりだ。それを1時間や2時間で理解されてしまうとすれば、私の人生はいったいどうなるのだ。

それをわかるように説明するのが教師というものではないかという意見もあるが、それは違う。そもそもモノゴトはわからないほうがいい。わからないから、一生懸命に考える。それがひとを成長させるのだ。すぐにわかってしまうようなことに本当の価値は少ない。そんなことをヒトサマに伝えてそれでお金をいただくなんて、詐欺である。私は教師であって詐欺師ではないから、そういうことは御免である。

本当にわかるためには多大なエネルギーと長い長い時間がいる。私自身、中学生のころにわからないと思ったことを40年以上考えつづけているが、いまでもわからないことが多い。それでよい。だから人生は面白い。

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