成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

英語のスペリング(1): サイレントE

2010年6月1日

まず最初にいわなければならないのは、英語のスペリング(綴り)システムは、じつに最低だということである。これほどひどいスペリングシステムを持つ言語は(日本語をのぞいて)ほとんどないといってよい。これはべつに私個人の意見というわけではなく、たとえば英国の小説家であるジョージ・オーウェルもそういっている。オーウェルは、英語ではfishのかわりにghotiと書いてもよいはずだと述べている。くわしく知りたい方はghotiでグーグル検索してみればよい。

英語は、むかしむかしにラテン語の文字を借用してみずからのスペリングシステムをつくった。ところがそれから長い長い時間がたつうちに英語の発音のほうは大きく変化したにもかかわらず、表記方法のほうは変えないでおいたため、発音とスペリングが大きくずれてしまった。

とくに基本語ではそのずれがいちじるしく、たとえばhaveとhateはvとtが違うだけなのにaの発音が違う。いっぽうoneとwonは同じ発音である。これで外国人がちゃんと発音できないのは当然のことではないか。

だが、そうしたなかでもスペリングと発音とのあいだの規則と呼べるようなものはある。その代表的なものが、「サイレントE」(または「マジックE」)だ。

サイレントEとは、単語の語尾にあってそれ自体は発音せず、前の母音の音を短母音から長母音へと変える働きをするEのことである。といってもなんだかよくわからないだろうから、具体例をいくつか挙げる。

たとえばcutとcuteである。語の最後にeがなければ、このuは短母音としての発音となり、(カタカナは使いたくないが、ここでは発音記号が使えないので)「カット」となる。いっぽう最後にeがついてcuteとなると長母音としての発音となり「キュート」となる。同様に、ratとrateのaは「ラット」と「レイト」、sitとsiteのiは「シット」と「サイト」になる。ただしこの規則は多くの基本語には通用しない。うえに挙げたhaveがその例である。

このほかにも英語の発音とスペリングをつなぐ規則がかなりある。そうした規則を覚えると英語のリーディングがずいぶん楽になる。今後もひとつずつ丁寧にご紹介していくことにするが、その全体像を知りたい方は「フォニックス」でグーグル検索していただきたい。役に立つ情報が手に入るはずだ。

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