成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

トリム・タブ

2010年5月4日

トリム・タブ: トリム・タブと呼ばれる小さな舵が、巨大な船や飛行機の向きを変えることから、社会全体に影響を及ぼす市民運動などのことを言う。アメリカの思想家・建築家のバックミンスター・フラーが提唱した表現。(Eijiroより)

英語教室立ち上げの最初のミーティングで説明したのが、この「トリム・タブ」という概念だった。「このプロジェクトを日本の教育の“トリム・タブ”にできないかと思っているんです」。

日本の教育という巨大船はいま進路を見失って漂流をつづけている。そのなかで多くの座礁を繰り返し、船体はすでに傷みきっている。このままでは沈没も近い。乗客の多くがその状況に気づいているが、不安と恐怖に駆られながらも、なすすべがない。自分たちでその向きを変えるには、船はあまりにも大きすぎるのだ。

たしかにそのとおりだ。船はあまりにも大きく、私たちのような個々人の力で動かせるようなものではない。だが、本当になすすべはないのだろうか。船が沈没していくのを、ただ見ているか、あるいは船から逃げ出すしかないのだろうか。

そんなことを考えていたときに見つけたのが、この「トリム・タブ」という考え方だった。そして、たちまち心を惹かれた。これならば、私のようなちっぽけな存在でもなれるかもしれないと思ったのである。

私たち個々人に日本の教育という巨大船を動かす力などない。だがその向きをスムーズに変えるための役割ならひょっとすると果たせるかもしれない。教育に携わるなら、そんな存在になりたいと私は考えた。

ありがたいことに仲間たちもこの考え方に賛同してくれた。これからはこの考え方を基本にして具体的な活動を組み立てていきたいと思う。

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