成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

ネイティブ英語から日本人英語へ

2011年1月28日

今日の日経新聞(2011.1.28)を読んでいて興味を強く引いた記事があった。5面に出ている「アジア貿易5割突破、中国以外に広がり、米シェア10年で半減」というものである。

記事によると、2010年の日本の貿易総額(輸出入の合計)は、アジアの比率が51%、米国の比率が12.7%となった。この10年の推移でみると、アジアの比率は約10ポイント高まり、一方で米国の比率は、ほぼ半減した。アジアのなかでは中国の比率が高い(20.7%)が、しかしASEAN諸国や韓国など中国以外のアジア諸国との貿易も大きく伸びているという。記事のなかの線グラフをながめると、アジアの線がぐんぐんと上昇して、逆に米国の線がぐんぐんと下がっていくのがよくわかる。

これは驚くべきことである。貿易面からみれば、日本はこの10年間で完全に米国中心からアジア中心へとシフトしてしまったのだ。もちろん、経済活動は貿易だけで測れるものではなく、日米の経済関係がいまも強固なものであることは間違いない。しかし市場がこれほどアジア中心になってしまったということは、やはり今後の経済活動全体に大きな変化を及ぼすに違いない。

そのなかで、私たちのような英語関係者にとって特に興味深いのが、経済活動における英語の果たす役割である。国際経済活動の中心が米国からアジアへとシフトしたからといって、国際ビジネスにおける英語の重要性が低まるわけではない。それどころか、実際にはアジアとのビジネスのほぼすべてが英語で行われているのだから、英語の重要性は今後ますます高まっていくはずである。

しかしここで重要なことは、アジアとのビジネスで用いられる「英語」とは、これまでのような米国人相手の「ネイティブ英語」なのではなく、「国際共通語としての英語」あるいは「グロービッシュ」だということだ。

すなわち私たちが今後マスターしなければならない英語とは、中国人英語、シンガポール人英語、インド人英語などの多種多様な英語が共存するなかでの、日本人としての日本人英語なのである。そしてこの事実は今後の日本の英語教育に根源的な変化を呼び起こすはずである。

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