成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

世界は本で満ちている

2010年12月12日

日曜日の朝である。いつものように朝食を食べながら日経新聞に眼をとおす。日曜日に最初に読むのは「読書」面だ。毎週、数十冊の本が紹介されている。今週はどんな本が紹介されているだろうのか。一冊一冊の紹介文を丁寧に読んでいく。

まず『医療改革と経済成長』(松山幸弘)。重要な公共財のひとつである医療と経済成長との関連を日本社会を中心に分析した本だ。私の研究テーマのひとつであるから、これはぜひとも読まなければならない。

つぎは『荒廃する世界のなかで』(トニー・ジャット)。副題として『これからの「社会民主主義」を語ろう』とある。ジャットという著者は知らないが、市場原理主義を激しく非難する著名歴史家のようだ。紹介文には次のようにある。

(以下、引用)
「今日の私たちの生き方には、途方もない間違いがある」。規制なき資本主義は自らを滅ぼすと考えるジャットは、市場原理主義への容赦ない批判を繰り広げる。また、何が正義か、何が公平かという政治的な問いが見失われ、不平等をどのように語るかもわからなくなっている現状への怒りを爆発させる。
(引用おわり)

かなり暑苦しそうだが、これもできれば読んでみたい。ただ翻訳本なので文章のクオリティが心配だ。原著で読んだほうがよいかもしれない。

となりのページでは中国文学者の加藤徹が「金子みすゞ童謡全集」を紹介している。紹介されている詩がとてもよい。こんなものだ。

(以下、引用)
昼と夜
昼のあとは/夜よ、/夜のあとは/昼よ。//どこに居たら/見えよ。//長い長い/縄が、//その端と/端が。
(引用おわり)

美しい詩である。加藤が書いているように、これは日本の詩には珍しい八分の六拍子だ。いつか詩を書きたいと念じている私にとって、この全集は買うしかない。

その下をみると『地獄を見た11人の天才投資家たち』(スティーブン・L・ワイス)という本が紹介されている。一時は一世を風靡した「天才」投資家たちがその後どのように破綻していったかを紹介する本だという。サイマルの授業でも使えそうだ。読んでおいたほうがよい。翻訳本だからやはり原著で読んだほうがよい。

文庫・新書欄をちらりとみると眼についたのが『アメリカ人はなぜ肥るのか』(猪瀬聖)。ちょっとした話題として使えそうだ。著書は元新聞記者、たぶん数時間で読みとばせるはず。買いである。

紹介されているそのほかの本も、みんなとても面白そうだ。できれば全部買ってしまいたい。ただそんなことをすると経済的に破綻してしまう。それに、買ったとしても読む時間がない。いまでも読書に時間をとられすぎていて肝心の仕事がおろそかになりがちだ。これではいけないと、つい一週間ほど前に反省をしたばかりではないか。

なにごともやりすぎはよくない。読書についてもほどほどが大切である。うん、それはまったくそのとおりなんだが、それが、なかなかうまくできないんだよなあ。

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