「ボリュームは高い」は正しい日本語か

2010年5月24日

high/lowは英語を習い始めたときからイメージがうまくつかみきれない語彙だった。基本的にはhigh=高、low=低でよいのだが、たとえばステレオの音量は大=high、小=lowであり、low noiseといえば雑音が少ないことだ。「雑音が低い」とはいわないはずである。

high/lowには高低のイメージだけでなく大小のイメージもあるのだろうか。それともvolumeやnoiseのほうにこそ大小だけでなく高低のイメージがあるのだろうか。そこらへんがいまだによくわかっていない。

ずいぶん前のことだがhigh/lowについて解説したテキストに出会ったような記憶がある。たしかhigh/lowが大小の意味になるのは高低からの転用語法などという解説だった。そのときも結局のところ十分に納得できなかったように覚えている。

翻訳にからめていえばhigh/lowの訳語に「高低」と「大小」が混在しているケースがよく眼につく。たとえばファイナンスではhigh-riskは「高リスク」と訳されるが、risk is highだと通常「リスクは大きい」になって意味なく食い違ってしまう。これを食い違えないように「リスクは高い」とすると日本語としてはどこか違和感が残るように思う。

ところがじつはいまはそうではないのだ。グーグルで検索をしたところ「リスクは高い」は156万件ヒットした。いっぽうで「リスクは大きい」は97万6000件のヒットにとどまった。とするとインターネットの日本語ではリスクは「大きい」のではなく「高い」もののようである。つづけて「ボリューム」でも調べてみると「ボリュームは高い」が39万5000件、「ボリュームは大きい」が18万4000件であり、ボリュームもまた「大きい」のではなく「高い」ものである。

この検索結果が示すのは、少なくともインターネットの世界においては「ボリュームは高い」という日本語表現はもはや間違いではないということだ。ようするにhighと「高い」とを一対一対応させることで日本語そのものを変化させてしまったのである。

こうした現象はこれからもどんどん起こるにちがいない。日本語が英語化するのである。これが究極にまですすめば、おそらく将来の日本語は「Volumeはhighである」というかたちになる。私のいう「漢字・かな・英語混じり文」の完成である。実際に流行歌の世界はすでにそうなっている。いちどcheck it outしてみればよい。

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