成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

英語リーティング・ライティング講座

2010年7月19日

今年もサイマル・アカデミーの夏季講座として英語リーディング・ライティング講座を受け持つことになった。毎週土曜の午前がリーディング講座、午後がライティング講座で、どちらも2時間4回の8時間コースだ。

リーディング講座の目標は、英語のさまざまなテキストを返り読みすることなく30分連続で読めるようになることである。水泳にたとえれば1500メートルをノンストップで泳げるようになるイメージだ。

ライティング講座の目標は世界中の誰にもよくわかる日本人として最良の英語を書けるようになることである。ネイティブと同じように英語を書けるようになることが目標ではない。そんなことは普通の日本人にできるはずがない。できないことを目標にするのは愚かなことである。

目標を達成するために各講座ではまずツールとなる手法を紹介し、そのうえで実践トレーニングをおこなう。

リーディング講座では、返り読みをしないための動的な読みの方法、スキミングやサマライジングの方法などを紹介したのち、さまざまなタイプのテキストを耳と眼と口をつかって読む実践トレーニングを重ねていく。

ライティング講座では、日本語と英語の認識・思考・表現の方法の違いを詳しく解説したのち、英語ライティングトレーニングをおこなう。

当ライティング講座の最大の特徴は、旧来の和文英訳のトレーニングでもなく、また自由英作文のトレーニングでもないことである。

旧来の和文英訳は、日本語と英語の表現つまり「かたち」の一致にしか眼を向けてこなかった。しかし日本語と英語とでは世界認識の方法、思考の方法が根本的に異なる。こうした認識や思考の根本的な差異を考えずに、ただ表現だけを一致させようとしても、無意味である。和文英訳が結局のところ、歪んだ英語しか生み出さないのはそのためである。

いっぽうで日本語のことなど無視して最初から英語で考え英語を英語として書けばよいという主張がある。いわゆる自由英作文である。だがこれには大きな欠点がある。

ひとつは習得に膨大な時間がかかることだ。子供が母語を習得するパタンと同じことだからである。たしかに英語ネイティブとしての英語ライティング能力を習得したいのなら、この方法しかない。しかしそれは私たち日本人には実質的に不可能であり、またその必要もない。

もうひとつは、母語の知識や経験が活かせないことである。子供ならともかく、大人にとっては、これはきわめて非効率である。英語を外国語として学習するなら、母語を最大限に利用したようがよい。そのほうが圧倒的に効率的だ。

当ライティング講座では、日本語と英語の表現上の相違だけでなく、認識や思考のあり方の相違にまで遡って、日本語と英語の世界を連結させていく。こうすることで、和文英訳のような歪んだ英語をつくることなく、また自由英作文のように膨大な時間をかけることなく、外国語としての英語ライティングを効率的に学ぶことができる。

いずれにせよ、受講生の皆さんの英語力がこれをきっかけに大きく伸びるよう、講師として全力を尽くしていきたい。

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