成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

1分間300ワードを目指そう

2010年10月26日

先の道中記で述べたとおり、これからの時代は英語リーディング能力がきわめて重要になってくる。知のグローバル化が急速に進む現在、英語の文書をきちんと読めないかぎり、まともな仕事や学問はもはやできないからだ。

その英語リーディング能力を測る基準のなかで最も使いやすいのが、リーディングスピードである。「速く」読めるというのは、やはり大きなアドバンテージなのである。といっても、なによりも「きちんと」読めることがまずは大前提であり、いわゆる「速読」能力とはまったく別の話であることにも、どうかご注意を願いたい。

では具体的にどのぐらいにリーディングスピード力が必要なのかというと、最終的な目標としては、1分間に300ワードを読める力と考えてよいと思う。というのは、一般の知的な英語ネイティブが、この程度のリーディングスピードだからである。ちなみに、知的でない英語ネイティブのリーディングスピードはもっと遅く、学者など一部の特殊な英語ネイティブのリーディングスピードはもっと速い。

1分間300ワードといわれてもなかなかピンとこないだろうが、普通の本や書類であれば1ページあたりの原稿の分量はおそらく300ワードから600ワードぐらいである。ということは1分間300ワードとは1ページを1分から2分ぐらいで読めるスピードであり、1分だと1時間で60ページ、2分なら30ページが読めることになる。これなら英語の本を一日で読みきってしまうこともできる。

もうひとつ大事なことは、わからない単語の数が1ページあたりに5つ以下ぐらいでなければならないということだ。もしも1ページに10個も20個もわからない単語があるようなら、そもそも「きちんと」意味がとれるはずもなく、本当のリーディング力には値しない。そんな状況なら、まずなによりもボキャブラリー力のパワーアップが必要であろう。

こうやって考えると、1分間300ワードという評価基準がきわめてハイレベルのものであることがよくわかる。一般の知的ネイティブと同水準なのだからまあ当たり前といえば当たり前である。したがって1分間300ワードというのはあくまで最終目標であってよい。その前に1分間100ワード、1分間200ワードという暫定目標を決めておいて、それを確実にクリアしていくというのが現実的である。

リーディングスピードの測定方法だが、まず読むべきテキスト(自分がいま読んでいるレベルあるいは今後読みたいと思っているレベルのもの)とリーディング時間(10分程度でもよいが、できれば30分以上が望ましい)を決定し、テキストを読んでいく。読んでいくなかで、わからない単語(みたことはあるが意味がはっきりしないという単語も「わからない」に入れる)にチェックを入れる。読み終わったあとには内容の要約を書いてみる。もしわからない単語が1ページあたりに10個にもなったり、要約しようとしても要約できないなら、リーディング不能という判定になる。わからない単語の数が5つぐらいまでで要約もできた場合には、読めた分量を分数で割って1分間あたりのワード数を計算する。それがあなたの現在の英語テキストのリーディングスピードである。

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