成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

Flesch Reading Ease Formuladeで「読みやすさ」を測定する

2012年3月26日

Flesch Reading Ease Formula(フレッシュによる「読みやすさ」の公式)は、英文の読みやすさを計る方法として最もよく使われるもののひとつです。英文の読みやすさが、1から100までのスコアで示され、点数が高いほど読みやすい英文とされます。公式は以下のとおりです。

206.835 – (1センテンスあたり平均単語数) x 1.015 – (1単語あたり平均音節数) x 84.6

英語ネイティブでは、11歳なら90~100点の英文を無理なく理解でき、13~15歳なら60~70点の英文を無理なく理解できる、とされています。一方、0~30点の英文には、大卒レベルの読解力が必要だとされています。

具体的なテキストの例を挙げてみると、Reader’s Digest誌が約65点、Time誌が約52点、Harvard Law Review誌が30点台、だそうです。

ところで、このFlesch Reading Ease Formulaとその兄弟版である Flesch–Kincaid Grade Levelは、マイクロソフトのWordとOutlookでのオプション機能となっています。「校閲」の「スペルチェックと文章校正」でこれらの点数が測定できるのです。ただしデフォルトの状態では機能がオフになっていますので、以下の手順でオンにしてください(Word2007の場合)。

1. 「Officeボタン」(左上にある丸いアイコン)をクリック。
2. 一番下の右に「Wordのオプション」というアイコンがあるのでそれをクリック。
3. 左のメニューのうえから3番目に「文章校正」というボタンがあるのでそれをクリック。
4. 「Wordの文章校正とスペルチェック」というメニューの一番下に「文書の読みやすさを評価する」というチェックボックスがあるのでこれをチェック。

その後は「校閲」の「スペルチェックと文章校正」をおこなうと、英文であればFlesch Reading Ease Formulaと Flesch–Kincaid Grade Levelのスコアが表示されます。また日本語の文章では、一文の平均の長さや漢字とかなの比率などを示してくれます。

ここでひとつの例として、Wordのこの機能を使って、村上春樹の『ノルウェイの森』の翻訳文(Jay Rubin訳)の読みやすさをチェックしてみましょう。以下のとおりです。

四月六日に緑から手紙が来た。四月十日に科目登録があるから、その日に大学の中庭で待ちあわせて一緒にお昼ごはんを食べないかと彼女は書いていた。返事はうんと遅らせてやったけれど、これでおあいこだから仲直りしましょう。だってあなたに会えないのはやはりさびしいもの、と緑の手紙には書いてあった。(村上春樹『ノルウェイの森』)

A letter came from Midori on 6 April. She invited me to meet her on campus and have lunch on the tenth when we had to enroll for lectures. I put off writing to you as long as I could, which makes us even, so let’s make up. I have to admit it, I miss you. (Translated by Jay Rubin)

この英文のFlesch Reading Ease Formulaは86.6点。つまり英語ネイティブであれば中学生レベルでも十分に理解できるということです。なるほど。

さてこの英文を、私とネイティブの友人の二人で法律文スタイルに書きなおしたのが、以下の英文です(もちろん、単なるジョークです)。Flesch Reading Ease Formulaは何点でしょうか。

On the date of April 6, the author (hereinafter referred to as the “Author”) received, from a woman named Midori (hereinafter referred to as “Midori”) a letter in which “Midori” made a proposal regarding the feasibility of a meeting between herself and the “Author” for the purpose of having lunch on the date of April 10, such day being the date upon which students were expected to undertake registration for the courses to be attended thereby. In the aforementioned letter, “Midori” noted that her lack of previous communication with the author had been intentional; nevertheless, “Midori” went on to state, she had perceived that equality had developed in terms of the level of mutual communication initiated between the two aforementioned parties, and that an amicable and mutually beneficial relationship should be resumed, based on the aforementioned perception of “Midori” and her negative sentiments regarding the prolonged absence of contact with the “Author.”

Flesch Reading Ease Formulaの点数は、たったの1.7点! 読みにくいはずです。(まあそのように作ったんですが)。

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