成瀬由紀夫コラム ことのは道中記

I Love Rock’n Roll

2010年5月30日

英語の歌詞が英語発音教材に使えないかどうか調べている。数十年前の高校英語教師時代に同じことをしたが、それを繰り返すことになるとは、人生、なにが起こるかわからない。

当時はビートルズ、マザーグース、ジャズチャンツなどを集めていた。ロック曲はカバーしなかった。公立高校では歌詞内容が使えないとの読みだった。なにしろ以下に紹介するI Love Rock’n Rollだって結局はあのことだ。教室でみんなで合唱するのはやはり気がひける。

だが今回は違う。レッスン場所はライブハウス。ロックこそぴったりではないか。そこでさっそく使えそうな楽曲をさがしたところ、最初にひっかかったのが、I Love Rock’n Rollだった。The ArrowsのAlan MerrillとJake Hookerが1975年につくった曲で、Joan Jett and the Blackhearts、ブリトニー・スピアーズなどもカバーしている。YouTubeで視聴できるので聞いてみてほしい。歌詞は以下のとおりだ。

I Love Rock’n Roll

I saw him dancin’ there by the record machine
I knew he must a been about seventeen
The beat was goin’ strong
Playin’ my favorite song
An’ I could tell it wouldn’t be long
Till he was with me, yeah me, singin’

I love rock n’ roll
So put another dime in the jukebox, baby
I love rock n’ roll
So come an’ take your time an’ dance with me

He smiled so I got up and’ asked for his name
That don’t matter, he said,
‘Cause it’s all the same

Said can I take you home where we can be alone

An’ next we were movin’ on
He was with me, yeah me

Next we were movin’ on
He was with me, yeah me, singin’

I love rock n’ roll
So put another dime in the jukebox, baby
I love rock n’ roll
So come an’ take your time an’ dance with me

Said can I take you home where we can be alone

An we’ll be movin’ on
An’ singin’ that same old song
Yeah with me, singin’

I love rock n’ roll
So put another dime in the jukebox, baby
I love rock n’ roll
So come an’ take your time an’ dance with me

by Alan Merrill and Jake Hooker

以下、サビの部分である、So come an’ take your time an’ dance with me、の発音についてご説明しよう。というのも、ここがちゃんと歌えると「クール」だからである。

この部分は、一見むずかしいそうだが、じつは非常なシンプルなリズムである。カタカナで書くと「タ、タッ、タッ、タッ、タッ、タン、タン、タン」である。

発音記号を使わずに、スペリングをなるべく活かしながら、実際の発音を表記するとすれば、うえの一行は、以下のようになる。

So comn’ takyr  time   an’   dance with  me
タ  タッ  タッ  タッ  タッ   タン  タン  タン

音符でいうと、おそらく最初の「タ」が16分音符、「タッ」「タン」が4分音符だと思う。楽譜的には最初の「タ」プラス「タッタッタッタッ」「 タンタンタン●」の2小節分ではないだろうか。ちゃんとした音楽教育を受けていないので自信はないが。

みてのとおり、最初のandは前のcomeにくっついて一音節化する。「ロック・アンド・ロール→ロックン・ロール」(Rock and Roll → Rock’n Roll)と同じ現象である。

いっぽう、つぎのtake yourのyourは、まず母音を脱落させyrととなり、それから、takeにくっつき、takyrという一音節になる。おそらく、ここが日本人にとって一番むずかしいところではないだろうか。yourがyrになってしまうこと、それが前の音節に吸収されてしまうことがポイントである。

つぎのan’は、最後のdが脱落するが、しかしaという母音はしっかりと残り、一音節としての地位を保っている。つまり、前のcome an’ のan’ とは音声的にはまったく違うものなのである。このように、英語では同じ単語でも周囲の状況によって音が異なる。この点が日本人にとって理解の難しいところである。

最後のdance with meに大きな問題はない。だからここだけは誰でも歌えるというわけだ。ただしd、w、the、mなどの子音、a、eなどの母音の各発音については、日本語のダンス、ウィズ、ミーにならないように、しっかりとトレーニングしておく必要がある。

この部分だけであれば、こうした解説をきいて10分もトレーニングすれば誰でも「クール」に歌えるようになる。もちろん、うまい下手は別問題だが。


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