「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、 あのゴジラの同類が世界のどこかで現われてくるかもしれない」

2011年11月16日

1954年に公開された「ゴジラ」での最後のシーンのセリフです。この年、米国がビキニ沖で水爆実験を行い、その警告地域外で操業していた日本のマグロ船、第五福竜丸に死の灰が降りかかりました。乗組員全員が被爆、うち久保山無線長(当時39)が半年後に死亡しました。久保山さんは、死ぬ間際に「原水爆の犠牲者は私を最後にしてほしい」と言い残しています。日本が誇る特撮映画「ゴジラ」の誕生には、こうした社会背景があったのです。「ゴジラ」は、水爆や核戦争のメタファーだったんですね。

しかしその後「ゴジラ」のイメージはどんどんと矮小化され、ついにはハリウッド映画の「Godzilla」になり、松井秀樹のニックネームになってしまいました。まあ世の中こんなもの、なのでしょうが、しかし私たちは「ゴジラ」誕生の背景とこのセリフの持つ意味を忘れるべきではないと思います。なぜなら私たちはいま別の「ゴジラ」と戦っているところだからです。

さて英語です。

I don’t believe that that Godzilla is the last one.
We may see another Godzilla appear somewhere in the world
if we continue nuclear testing.

「思えない」はI don’t thinkでなくI don’t believeにしました。believeは「信じる」というポピュラーな訳語にひっぱられがちですが、「強く思う」という広い意味でよく用いられます。

see another Godzilla appear(別のゴジラが現れる)はsee+目的語+動詞の原形や分詞形という、いわゆる「知覚動詞構文」のかたちです。このかたちをとる知覚動詞としては、feel、perceive、notice、imagine、see、look at、watch、observe、catch、find、discover、hear、listen to、smellなどがあります。

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