日英翻訳1日1題 「ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は 風が通りぬけるだけ」

2011年9月22日

「さとうきび畑」(寺島尚彦 作詞作曲)の出だしです。森山良子が歌ってヒットしました。心にしみる歌ですね。さて英語ですが、今日はちょっとややこしいです。事実だけではなく、言葉に託された「思い」を訳さなければならないからです。

まず事実だけを訳すならば、以下のようになります

The wind is passing through a large sugarcane field.
(風が、広いさとうきび畑を通りすぎている)。

「さとうきび」はSugarcane。caneは(竹などの)節のある茎のことです。「通りすぎる」はpass through。でもこれだけでは何を伝えたいのかがさっぱりわかりませんね。で、なんなんだ?と聞き返したくなります。

この歌は、沖縄戦の激戦地になった場所が、いまはさとうきび畑となっており、そこにはメモリアルとなるものもなく、ただ風が吹き抜けているだけという光景を描いたものです。そうした、やるせなさやせつなさが、この歌詞には込められているのです。

さて、この思いを英語にするとなると、これは至難の業です。また「ざわわ」というオノマトペ(擬音語)も英語になりにくいものです。日本語にはオノマトペ表現がとても豊富ですが、英語ではオノマトペ表現をほとんど使いません。

そうした無理を承知で私なりに意訳してみると、次のようになります。

Standing at an old battleground of the Okinawa War, I saw the wind passing through a large sugarcane field with the sound of sorrow.
(沖縄戦の戦場跡に立って私は、さとうきび畑の上を悲しみのさざめきとともに、風が通りすぎるのを見た。)

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