「しゃぼん玉とんだ 屋根までとんだ 屋根までとんで こわれて消えた」

2011年10月7日

「しゃぼん玉」(作詞 野口雨情 作曲 中山晋平)の出だしです。1922(大正11)年に発表されました。この詞は野口雨情が、わずか数カ月で死んだ自分の娘を偲んでつくったものとされています。それゆえに、これに続く「しゃぼん玉きえた とばずに消えた 生まれてすぐに こわれて消えた」「かぜ かぜ ふくな しゃぼん玉 とばそ」という歌詞にこめた思いが痛いほどに伝わってきます。

さて英語です。この曲もグレッグ・アーウィンさんが『英語で歌う、日本の童謡』のなかでとりあげています。

Blowing bubbles in the air
Blowing bubbles everywhere
Some will fly up to the sky
Some will drop and just go pop

よい訳だと思います。なにより歌いやすいですね。

1、2行目の終わりはin the air/everywhereで韻を踏んでいます。「こわれる」にはgo pop(ポンとはじける)というきわめて口語的な表現をつかっています。popはポップコーンのポップですね。

「とんで、こわれて消えた」の部分は、普通であれば現在完了形をつかって

Some has flown up to the roof
Some has dropped and just gone pop

とするところだと思いますが、アーウィンさんはroofでなくskyという広々としたイメージの語を使い、現在完了形より前向きなイメージの未来形(will fly up, will drop and just go pop)を使っています。

これでは野口雨情の本当の心情が表れませんが、アーウィンはそれを知ったうえで敢えて元気で明るい歌にしたのだと解説で述べています。確かにそれもひとつの訳出方法なのですが、私ならばとてもそうはできません。アメリカ人と日本人の美意識や人生観の違いかもしれませんね。

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