「ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて。 自分の感受性くらい自分で守れ ばかものよ」

2012年5月12日

茨木のり子の詩「自分の感受性くらい」の出だしと最後の部分です。この詩は日本の現代詩のなかで私が最も好きなもののひとつです。全文をのせます。

「自分の感受性くらい」
茨木のり子

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ

ばかものよ

全文の英語です。

No blame on others for your dried-up heart
You are to blame as you did not water it

No blame on friends for your stubbornness
It is not friends but you who lost suppleness

No blame on parents for your impatience
It is because of you that went wrong in every sense

No blame on a lack of money for your lost ambition
Your ambition was originally too fragile to be held on

No blame on the times for all troubles that you have found
You would lose the dignity you scarcely have in your mind

It is your own task to keep your mind high and receptive
Idiot!



<今日の出題>
「まきこまれ ふりまわされ くたびれはてて 
ある日 卒然と悟らされる
もしかしたら たぶんそう
沢山のやさしい手が添えられたのだ
一人で処理してきたと思っている
わたくしの幾つかの結節点にも
今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで」

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