「大君の 命かしこみ 出で来れば 我の取りつきて 言ひし子なはも」

2011年10月21日

万葉集のなかの一首です。大君(天皇)の命によって九州を防御する防人(さきもり)に任ぜられた上総の国(今の千葉)の青年が詠んだ歌です。

意味は「天皇の仰せであるから、謹んでお受けして遠くやって来たけれど、私が出発する時に私に取りすがって泣いていた妻は、今どうしているだろうか」。

妻を思う心情がひしひしと伝わってきますね。「我の取りつきて」というのは当時の東国の方言であったようです。こうした素朴かつ素直な歌いぶりが万葉集の大きな魅力です。

さて英語です。私なりにつくってみました。

At the command of the Emperor
I have been far away from home
I am awfully anxious about my wife
who clung to me with tears in her eyes

直訳すると「天皇の命令で故郷からはるか遠くにきてしまったが、目に涙をためて私にすがりついていた妻のことがとても心配だ」。

awfullyはveryと同じく「とても/すごく」という強意の副詞です。ただもとの名詞のaweが「畏怖、畏敬(尊敬と恐れの交錯した感情)」という意味ですので、畏れのイメージおよび精神的なイメージがあります。anxious about…は「~が心配である」。clung toはcling to(すがりつく)の過去形。with tears in her eyesは非常によく使われる表現なので覚えていて損はないでしょう。

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