「水鳥の 立ちの急ぎに 父母に 物言はず来にて 今ぞ悔しき」

2011年10月22日

万葉集からの一首。昨日に引き続き、防人として徴兵された庶民の歌です。意味は「水鳥が飛び立つ時のような出発の慌ただしさに、両親にものもいわずに来てしまった。今になっては、それが悔しい」。昨日の一首は妻との別れを歌ったものでしたが、今日の一首は両親との別れを歌ったもの。千数百年を経ても人間は変わらないものです。

「水鳥の」は「立ち」の枕詞。水鳥が水面を飛び立つときに慌ただしく羽音をたてる様を想起させ、「急ぎ」の比喩にもなっています。

さて英語です。これも私なりにつくってみました。

How regrettable it is
that I had to depart from home
so hurriedly that I could not give any word
to my mother and father

直訳すると「なんと残念なことだろう。あまりにもあわただしく出発したので、母や父に声をかけることもできなかった」。

regrettableは「残念な、悲しむべき」。had to depart from は「~から出発しなければならなかった」。so hurriedly that…は「とても急いでいたので…」。could not give any wordは「まったく話をすることができなかった」。

親しい関係であればあるほど話さなくなるのが日本人のあり方です。何も言わなくてもわかりあえる関係こそがよいものだと思っているからですが、しかしやはり言葉をかけあうことはとても大事です。大切な人との会話をもっともっと増やしていきたいものですね。

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