「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」

2011年10月16日

柿本人麻呂とともに歌聖とよばれる山部赤人の一首。万葉集でも特に有名な歌です。原文は「田兒之浦從 打出而見者 眞白衣 不盡能高嶺尓 雪波零家留」。

さて英語です。今日からは、おもにアメリカの詩人、Kenneth Rexrothの訳を中心にご紹介していきたいと思います。Rexroth(1905-1982)は米国ビート世代を代表する詩人として活躍するとともに、中国や日本などの詩歌の翻訳において大きな功績を遺しました。私自身はこれまでRexrothについて何も知らなかったのですが、万葉集の英訳を調べるうちにRexrothの“One Hundred Poems From The Japanese”という本に出会い、その素晴らしさに、たちまちのうちに魅了されてしまいました。

彼の訳詩には解説のような部分は一切なく、原詩の魅力がダイレクトに英詩として表現されています。詩は詩であり、どのような言語であっても詩としての魅力がなければならないという詩人としての基本姿勢が貫かれています。

     I passed by the beach
     At Tago and saw
     The snow falling, pure white,
     High on the peak of Fuji.

くだらない文法解説はしたくないのですが、saw the snow fallingは知覚動詞構文で「雪が降るのがみえた」。そのあとのpure white, high on the peak of Fujiは副詞句としての位置づけです。詩ではこうした極限まで切り詰めた表現がよく用いられます。そのためこのような副詞句を用いると散文でも詩的なイメージが醸しだされます。ただし私たち日本人が真似することはやめましょう。うまくいくはずがありません。

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