日英翻訳1日1題 「私のお墓の前で泣かないで下さい そこに私はいません 眠ってなんかいません 千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています」

2011年9月20日

「千の風になって」の出だしです。秋川雅史が歌って大ヒットしました。作詞は新井満ですが、本人もいっているように、この詩はメアリー・フライという米国人のDo not stand at my grave and weepという詩の翻訳です。まずその原詩をみてみましょう。以下に全文を載せます。心やさしくて、いい詩です。なおメアリー・フライは詩の著作権を放棄しています。

Do not stand at my grave and weep,
I am not there, I do not sleep.
I am in a thousand winds that blow,
I am the softly falling snow.
I am the gentle showers of rain,
I am the fields of ripening grain.
I am in the morning hush,
I am in the graceful rush
Of beautiful birds in circling flight,
I am the starshine of the night.
I am in the flowers that bloom,
I am in a quiet room.
I am in the birds that sing,
I am in each lovely thing.
Do not stand at my grave and cry,
I am not there. I do not die.

2行ずつ、きっちりと脚韻を踏んでいるのがよくわかります。英語では韻を踏まなければ基本的に詩とはいえません。5/7/5でなければ基本的に俳句といえないのと同じです。

今回の出題部分にあたるのは最初の3行です。脚韻は完全に消えています。英語を日本語にするときに脚韻のような音のイメージを訳すことはほぼ不可能です。

Do not stand at my grave and weep,
(私のお墓の前に立って泣くのはやめてください)
I am not there, I do not sleep.
(私はそこにはいません。私は葬られて(永眠して)はいません)
I am in a thousand winds that blow,
(私は空を吹いている千の風のなかにいます)

weepは「しくしく泣く」です。cryは「声をあげて泣く」。

sleepには「葬られる、永眠する」の意味もあります。

原詩は「空を吹いている千の風のなかにいます」ですが、歌詞は「あの大きな空を吹きわたっています」になっています。これにあわせて英語を変えるとI am in a thousand winds that blow in the sky highがよいのではないかと思います。でもこれでは脚韻が消えてしまいます。やっぱりもとの詩がいちばんいいようですね。

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