「銀(しろがね)も金(こがね)も玉(たま)も何せむに 優(まさ)れる宝 子にしかめやも」

2011年10月14日

今日から和歌をとりあげたいと思います。最初は万葉集からの一首。山上憶良(660年?~733年?)が詠んだとされる和歌です。意味は「銀や金や宝石など何になるだろう。子にまさる宝がほかにあるだろうか」。本当にそのとおりです。じつは長く担当していただいたサイマルアカデミーの薮田さんにはじめてのお子様がもうすぐ生まれます。うちの娘にも二人目の子どもが生まれます。この一首を薮田さんと娘に送りたいと思います。

原文は万葉仮名で書かれており、「白銀母 金母 玉母 奈爾世爾 麻佐禮留 多可良 古爾斯迦米夜母」です。「母」→「も」、「爾」→「に」、「麻佐禮留」→「まされる」、「多可良」→「たから」といった読みです。私たちの祖先はこうして日本語を書くという営みをはじめたのです。

さて英語です。万葉集の英訳の歴史は古く1880(明治13)年には英国人のB.H.チェンバレンが本格的に訳しています。その後も優れた英訳が数多く出されています。ここではそのうちのひとつをご紹介します(「英訳万葉集」より)。

What use to me
The silver, gold and jewels?
No treasure can surpass children.

簡潔で、よく意味を伝える、本当に優れた翻訳だと思います。

What use…は「なんの役に立つのか」。たとえばWhat use is there in worrying?(心配して何になる)というように使います。

No treasure can surpass children.を直訳すると「いかなる財宝も子たちを上回る(まさる)ことはできない」。無生物のtreasureを主語するSVO構文で、かつ文頭にNoという否定表現を用いています。これはまさに英語センテンスの典型的なかたちです。皆さんが英語をつくるときにも、こうしたSVO構文やNo…をどんどんと使われることを強くお勧めします。

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