「馬の気持ちなんて完璧にわかる訳ないっしょ。同じ人間同士でもわかり合えない奴がいるのに、種族の違うモンの気持ちがホントにわかる訳ねーべ。」

2012年5月26日

今日からはマンガのセリフシリーズです。まず荒川弘の『銀の匙』から。この作品は北海道の大蝦夷農業高校(通称エゾノー、もちろん架空ですがモデルは帯広農業高校だそうです)を舞台にした青春ストーリー。いま少年サンデーに連載中ですが、今後に残る傑作のひとつになると思います。ちなみに荒川さんは女性です。

これは、牧場の人々が馬を自在に世話するところをみた札幌出身の主人公の少年が、あの人たちは馬の心がわかるのだと感動している場面につづいて、彼らが大笑いをしながらセリフです。これが現実。隣の人の気持ちさえわからんのに、馬の気持ちなんぞわかるわけ、ないっしょ。

英語です。

You can’t fully sympathize with horses. Never! We don’t understand some others although we are all the same human beings. It’s impossible to share the feelings with other species.

「気持ちがわかる」にはsympathize, understand, share the feelings withの3つの表現を用いました。sympathizeのかわりにempathizeを使うことも考えましたが、意味うんぬんではなくempathizeという語そのものが日常会話であまり使われないのではないかと思います。特に農場の人が使うとはとても思えません。

じつは(敢えて使いはしましたが)sympathizeであっても、この文脈では少し違和感があります。Sympathy(sym=ともに、pathy(pathos)=感じる)はギリシャ語源の語であり、このような英語での「外来語」は、日常会話にはあまりふさわしくありません。

「~なのに」は、ここで使ったalthoughのほかに、though, in spite of, despiteなどが考えられます。このなかでいちばん口語的なのがalthough、いちばん文語的なのがdespiteです。ですから、この「ないっしょ」文脈のなかでdespiteを使えば、かなりの違和感があります。

種=species


<今日の出題>
「君の人生は教科書に全部書いてあんのかい?」

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