「駄目なことの一切を  時代のせいにはするな  わずかに光る尊厳の放棄」

2011年12月3日

茨木のり子の『自分の感受性くらい』の一節です。これも短い詩ですので全文を載せておきます。

自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心が消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨城のり子という詩人は、背筋がすくっと伸びているイメージ。そのひとに「自分の感受性くらい自分で守れ、ばかものよ」といわれると、かなり冷や汗ものです。茨城には『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)という現代詩の優れた入門書があります。ぜひお読みください。

さて英語です。

Don’t blame the times for all the failures
You would lose the meager rest of your dignity

blame A for Bは「AをBのために批難する、BをAのせいにする」。
You would loseは仮定法で「(もしそうなら)失うことになる」
the meager rest of…は「…のわずかな残り」

たしかに厳しい時代ですが、たとえうまくいかなくても、時代のせいにしちゃあいけませんね。

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