「どじょうがさ 金魚のまねすること ねんだよなあ」

2011年9月12日

野田新総理が就任演説で引用した、あいだみつをの詩です。世界中のメディアが大きく取り上げたので、ご存じの方が多いのではないでしょうか。さて、英語ではどのようにいうのでしょうか。

世界中のメディアが大きくとりあげたということは、すでに英訳があるということです。調べてみると、たしかにあります。それも、さまざまなかたちの英訳が。たとえば、次のようなものです。

A loach can’t emulate a goldfish.  (Japan Times)

A loach does not have to emulate a goldfish. (共同通信)

The loach, it doesn’t have to imitate the goldfish. (The Wall Street Journal)

There is no point in a loach trying to mimic a goldfish. (Economist)

いかがですか。それぞれに味があると思いますが、わたし自身の好みをいえば、最後のEconomist誌の英語が一番好きですね。

Japan Timesや共同通信の英訳は、少し舌足らずで、そっけなさすぎます。ドジョウは金魚のまねはできない、でなんなんだ?と、ついつい突っ込みたくなりますね。野田さんのいいたいことが、十分には伝わっていないように思います。

The Wall Street JournalとEconomistの訳には、そうした舌足らずのところがありません。WSJの訳では、The loach, it…となっていますが、これは「どじょうがさ」の「さ」のイメージを出したかったのだと思います。名詞をまず出しておいてそれをitで受けるという構文自体にも詩的なイメージがありますので、このケースではぴったりではないでしょうか。

いっぽう、Economistの訳では、there is no point in …という構文を使って、「ねんだよなあ」のイメージを出そうとしています。この点において、意味的にはこの訳が一番正確なのではないでしょうか。私としては、これが一押しです。


(これまでの「日英翻訳1日1題」については「成瀬由紀雄ホームサイト」の「日英翻訳1日1題」https://sites.google.com/site/narusehomesite/ri-ying-fan-yi1ri1tiをご覧ください)

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