(12)前置詞とは何か

2011年9月13日

まず前置詞と呼ばれる語を以下に挙げておきます。全部で65あります。このほかにin front ofなど前置詞として用いられる熟語がかなりあります。

about, aboard, above, across, after, against, along, alongside, among, around, as, at, before, behind, below, beneath, beside, besides, between, beyond, but, by, concerning, despite, down, during, except, excepting, for, from, in, inside, into, less, like, minus, near, of, off, on, onto, opposite, out, outside, over, past, plus, round, save, since, than, through, throughout, till, to, toward, under, underneath, until, up, upon, via, with, within, without

前置詞とは用法のこと

まずなによりも知っておかなければならないのは、前置詞という語そのものは存在しないということです。実際に存在するのは前置詞という「用法」です。たとえばoverという語は前置詞としても用いられますが、そのほかに副詞としても形容詞としても使われます。in, on, off, out, across, through, alongなどの語も前置詞として用いられるとともに副詞としても用いられます。いっぽうでat, of, for, to, intoといった語は前置詞としてのみ用いられ、ほかの用法はありません。ようするにそれぞれの語によって許容する用法の広さは異なっており、ひとつの用法しか許容しない語もあれば複数の用法を許容する語もあるということです。

別の比喩をしてみましょう。たとえばここに一本の棒があります。この棒は、あるときは「杖」として用いられ、あるときは「剣術の刀」として用いられ、またあるときは「椅子の脚」として用いられます。この「一本の棒」が語であり、「杖」「剣術の刀」「机の脚」が名詞、動詞、前置詞といった品詞です。

前置詞だけでなく名詞、動詞、形容詞など品詞と呼ばれるものすべてが、実体ではなく用法です。airにしてもwalkにしてもchairにしても、語そのものが名詞や動詞ということではありません。それぞれに名詞用法もあれば動詞用法もあります。品詞とは実体ではなく用法である――この事実をまずしっかりと理解しておかなければなりません。

前置詞用法と動詞用法は兄弟関係

前置詞用法について次に知っておかなければならないのは、前置詞用法は動詞用法と近い関係にあるということです。

たとえばoverを辞書で調べてみると前置詞用法のほかに動詞用法もあることがわかります。upやdownにも動詞用法があります。そのほかの前置詞句をみても、across the river(川を横切って)、into the city(町に入って)、against the proposal(提案に反対して)、through the forest(森を通り抜けて)のように前置詞=動詞、名詞=目的語というかたちで機能しています。前置詞句(前置詞+名詞)と動詞句(VO)は機能的にみれば同一のものなのです。前置詞用法と動詞用法はいわば兄弟関係にあるのです。

具体的な例でみてみましょう。The dream is over.といえば「その夢は終わり」であり、終わったのはthe dreamです。overされたのは主語のthe dreamであり、is overはいわば自動詞の役割を果たしています。一方、The dream is over the sea.では「その夢はその海を越えた」であり、overされたのはthe seaです。ここではis overはいわば他動詞の役割を果たしており、the seaがその目的語です。同様に、The switch is off.(スイッチは切れている)ならばis offは自動詞の役割、He turns off the switch.(彼はスイッチを切った)ならturn offは他動詞の役割をしています。

まず前置詞用法のイメージを学ぼう

前置詞用法を学ぶ際に、onは「~の上に」、forは「~のために、~に向かって」などと日本語に置き換えてから理解することは、とても損な学び方です。それよりも、それぞれの前置詞用法が持っているイメージを、まずしっかりとつかむことが大切です。

イメージには、大きく分けて空間イメージとそれ以外のイメージがありますが、きわめて多くの前置詞用法が空間イメージで理解することができます。空間イメージを図に表すと、たとえば次のようになります。



こうした前置詞用法のイメージについてもっと詳しく知りたい人は、たとえば『道を歩けば前置詞がわかる』(宗宮喜代子他著、くろしお出版)、『ネイティブスピーカーの前置詞』(大西泰人他著、研究社)などを読まれるとよいと思います。






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